一般的に成長ホルモンは子どもの身長を伸ばすためのホルモンとして知られています。
しかし、成長ホルモンは成人になってからも体の健康維持に重要な役割を果たしています。
成長ホルモンは筋肉や骨の維持、脂肪代謝、脂質代謝、心血管機能、さらには精神的な活力や生活の質(QOL)の維持にも関与しています。
このため、大人になってから成長ホルモンが不足すると、さまざまな身体症状や精神症状が現れることがあります。
成人成長ホルモン分泌不全症の主な症状
精神・心理面の症状
- ・疲れやすい
- ・気力や意欲が低下する
- ・集中力が続かない
- ・活動性が低下する
- ・不安感が強くなる
- ・気分の落ち込みや抑うつ傾向
- ・生活の質(QOL)の低下
身体面の症状
- ・体脂肪の増加(特に腹部)
- ・筋力や筋肉量の低下
- ・脂質異常症(高コレステロール血症など)
- ・骨密度の低下(骨粗鬆症)
- ・疲労感が続く
- ・寒がりになる
- ・皮膚の乾燥
- ・創傷(傷)が治りにくい
これらの症状は加齢やストレス、うつ病などと区別がつきにくいため、見過ごされていることも少なくありません。
成人成長ホルモン分泌不全症の原因
成人の成長ホルモン分泌不全症の多くは、下垂体やその周辺の病気によって起こります。
主な原因として以下のようなものがあります。
- ・下垂体腫瘍およびその術後
- ・頭蓋咽頭腫や胚細胞腫などの鞍上部腫瘍
- ・頭部への放射線治療後
- ・下垂体炎
- ・シーハン症候群(分娩時大量出血による下垂体障害)
- ・Empty Sella 症候群
- ・先天性下垂体機能低下症
- ・外傷性脳損傷後
診断について
診断には病歴の確認に加え、血液検査によるホルモン測定、下垂体MRI検査などを行います。
成長ホルモン分泌不全症が疑われる場合には、成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験)を行い、成長ホルモンの分泌能力を評価します。また、血中IGF-1(インスリン様成長因子-1)値も診断の参考となります。
これらの検査結果を総合的に評価し、診断基準を満たした場合には保険診療による成長ホルモン補充療法を受けることができます。
治療について
成人成長ホルモン分泌不全症と診断された場合には、不足している成長ホルモンを補充する治療を行います。
治療は通常、成長ホルモン製剤の自己注射によって行われます。投与量は血液検査の結果や症状を参考に調整しながら進めます。
適切な治療により、
- ・疲労感の改善
- ・体脂肪の減少
- ・筋肉量の増加
- ・骨密度の改善
- ・脂質代謝の改善
- ・生活の質(QOL)の向上
などが期待できます。なお、糖尿病や悪性腫瘍などの合併症がある場合には、治療適応について慎重な検討が必要となります。
このような方はご相談ください
- ・下垂体腫瘍の治療歴がある
- ・頭部放射線治療を受けたことがある
- ・原因不明の強い倦怠感が続いている
- ・気力や意欲の低下が著しい
- ・脂質異常症や骨粗鬆症を指摘されている
- ・下垂体機能低下症と診断されている
成人成長ホルモン分泌不全症は、適切な診断と治療によって改善が期待できる疾患です。 気になる症状のある方は、お気軽にご相談ください。







